留学後、アメリカの会社で社会経験を積みたいな。
こんな疑問を解決する記事です。
結論から言って、OPT(オプショナル・プラクティカル・トレーニング:通称オー・ピー・ティー)を活用することで、アメリカ留学からそのまま現地企業に就職ができます。
Google、Amazon、Microsoftなどの世界的企業もOPTを受け入れており、そのまま就労ビザに切り替えることも可能。その後永住権を取得している日本人もたくさんいます。永住までは考えていない人でも、アメリカ企業で働いた経験は大きなアドバンテージになるので、この機会にOPT取得を検討してみてください。
本記事では、そんなOPTについての予備知識から取得条件・方法まで、詳しく解説します。
僕もOPTを取得しました
アラサー男子 in L.A.
2014年:単身渡米
2019年:経営学修士(MBA)取得後、OPTで現地企業に就職
僕もアメリカで大学院を卒業後、OPTを取得して現地企業に就職しました。
当時の体験談も交えつつ、留学生目線で詳しく解説します。
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本記事のもくじ
OPTとは?アメリカ留学から現地就職する方法
まずはOPTの基礎知識について解説していきます。
OPTとは
OPT(オプショナル・プラクティカル・トレーニング)とは、アメリカで学校に通っている海外留学生向けに用意された制度で、学校卒業後、最長12ヶ月の就労訓練が受けられるシステムのことを指します。
原則として、海外留学生はアメリカの学校卒業後、母国への帰国が求められます。
しかし、OPTを使えば学生ビザのままアメリカの企業で働くことができるため留学生に人気で、国際的な人材を採用できるので企業も積極的に受け入れを実施している仕組みになります。
OPTが人気な理由
- 海外留学生:卒業後、アメリカの企業で働ける(最大12ヶ月)
- 受入れ企業:国際的な人材を合法で雇える(VISAサポートの必要がない)
OPTは学生ビザの一部(就労ビザではありません)
なお、たまに誤解している人がいますが、OPTはあくまでも学生ビザ(F-1 VISA)のまま、研修という形で働けるステータスです。
会社に雇用されて正社員として働くためには、別途就労ビザ(H-1B VISA)等が必要になるので、ここは誤解しないようにしましょう。
OPTを受け入れている企業
OPTは世界的大企業も受け入れを歓迎しているシステムです。
OPT中に、雇用先から信頼を得られれば、その間に次のビザや永住権への切り替えもできるので、なるべくなら大手を狙っていきたいですね。
OPTで働く人の数(2019年) | 求人募集ページ | |
Amazon | 569 | Student Programs |
268 | Careers Google | |
Microsoft | 191 | Careers at Microsoft |
185 | Facebook Careers | |
Intel | 174 | Internships |
なお、Googleとかになると、研修期間であっても初任給が5,000ドル(60万円)くらいのポジションもあります。
OPTの種類(Pre-OPT / Post-OPT / CPT / STEM)
OPTには2つの種類があります。
さらに、OPTと混同しがちなCPT、STEMという制度もあるので、合わせて解説していきますね。
Pre-OPTとPost-OPT
- Pre-Completion OPT:在学中から就労できる
- Post-Completion OPT:卒業後に就労できる
Pre-Completion OPTとは
Pre-Completion OPTは、学校に通っている期間から働ける仕組みでして、学期中は最大で週20時間まで働くことが認められており、夏休みなどの長期休暇中は週40時間(フルタイム)の就労が可能です。
なお、この間に働いた時間分だけ、卒業後のPost OPTから差し引かれます。
つまり、Pre-OPTで6ヶ月分働いたとしたら、卒業後に得られるPost-OPTは最大6ヶ月間になるという感じです。
Post-Completion OPTとは
いっぽう、Post-Completion OPTとは、学校のプログラムをすべて終了した後に利用できるシステムでして、OPTの認可が降りた瞬間から週40時間(フルタイム)での就労が認められています。
CPTとSTEM(混同注意)
OPTと似ている仕組みとして、CPT、STEMというものがあります。
CPT(Curricular Practical Training)とは、大学プログラムの一環として就業体験ができる制度でして在学中にのみ適応されます。CPTは授業の一環なので、学校側の承認が得られれば認定企業で働くことができますが、あくまでも学校が認めた企業のみのため、就職先の幅は狭まります。
STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったもので、これらを専攻している学生のみに許された就労制度です。STEMの場合、最大36ヶ月の就労研修が可能で、大学院の研究室などで卒業後も研究を続けたい学生が頻繁に活用しています。
OPTが取得できるタイミング
OPTは学位ごとに取得できます。
つまり、短大卒で1回目のOPT、4年制に編入・卒業後に2回目のOPT、大学院進学・卒業後に3回目のOPT、といった形が取れることになり、この間様々な企業で就労研修を積むことができます。
OPTが適用される留学について【補足】
補足ですが、OPTを取得できる留学は、短大、大学、大学院への留学に限られます。
語学学校で英語だけを学んでいる留学生は、OPTを取得することができないので注意しましょう。
OPTを活用して長期滞在を目指す人へのアドバイス(体験談)
また、アメリカ留学→現地就職、長期滞在(3年以上)とかを目指している人に、少しだけアドバイスです。
もし、卒業後OPTから就労可能なVISAへ切り替えて、現地企業で働き続けたいのであれば、Pre OPTは使わず、卒業後のPost OPTにフルコミットしましょう。
理由:VISA切替には時間がかかるから
というのも、就労関連のビザ(H1-B、Eなど)には申請のタイミングがあったり、認可されるまでに数ヶ月〜1年を要したりするからです。
Pre OPTで、最大1年のOPT猶予をすり減らしてしまうと、Post OPTの間に次のビザ発給が間に合わなくなり、一時帰国しなければいけなくなるかもしれません。
よって、アメリカに長く居たいならPre OPTは使わず、卒業後1年のOPT期間をギリギリまでキープしておいたほうが得策と言えます。
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OPTを取得する方法(手順を追って解説)
ここからは、OPTの取得方法を解説します。
OPT申請は簡単で自分でもできるので、移民弁護士や有料サービスに頼む必要はありません。下記の手順を追って申請しましょう。
OPT申請に必要な条件
OPTに申請できる留学生の条件としては、下記があります。
OPT申請に必要な条件
- 学生ビザ(F-1 VISA)で就学している
- I-20(在学証明書・在留証明書)を所有している
- 有効期限が6ヶ月以上残存するパスポートを所有している
- 1年間、もしくは9ヶ月間のFull Academic Yearを修了している
- 学位が取得できるプログラム、もしくはCertificate of Achievementを受講している
- 専攻分野に関連する研修先を自身で見つける
- 準博士号専攻が「一般教養(General Studies、Liberal Artsなど)」以外である
以上の条件を満たしていれば、基本的には誰でもOPTを申請可能です。OPTの審査に落ちたという人も、僕の周りでは聞いたことがありません。
語学学校からはOPT取得は不可能(注意)
先ほども書きましたが、語学学校のコースを修了してもOPTは取得できません。
学位または認可された修了証明を発行してくれる教育機関(短大、大学、大学院、専門学校)などを卒業した場合のみ、OPTを取得できるので注意してください。
OPT申請に必要なもの(書類など)
OPTの申請には下記書類(コピーでOK)が必要となります。
とはいえ、留学前に必要となる書類がほとんどなので、新たに用意しなければいけないのは、OPT申請用書類のI-765くらいですかね。
よって、書類準備はそんなに大変じゃないと思います。
OPT申請に必要な書類
- I-765:OPT申請用の書類(学校に問い合わせして用意)
- I-20:学校から発行される在学証明書(OPT用に新規発行)
- I-94:アメリカ出入国記録(米国政府の公式サイトから手配)
- OPTカード用の証明写真(近くの薬局などで撮影)
- パスポートのコピー
- 学生ビザ(F-1 VISA)のコピー
- 申請費用 $410(※2020年3月現在の価格)
OPT申請〜取得までの手順
OPT取得までの手順は大きく分けて4つ。
OPT取得の手順(4ステップ)
- 学校を通じてOPTを申請する(卒業2〜3ヶ月前がベスト)
- 雇用先を見つける(自分または学校の紹介)
- OPTカードを受け取る
- 雇用先から書類を提出する
これらを学校卒業前に済ませておけば、スムーズにOPTを開始できます。
1. OPTを申請する(卒業2〜3ヶ月前がベスト)
OPTの申請から受理までは最長90日掛かります。そのいっぽうで、学校卒業後、ビザ切り替えなしで合法にアメリカ滞在できるのは60日間(Grace Period)。
つまり、卒業後にOPTを申請していたら、下手をすると60日の猶予に間に合わないかもしれません。よって、卒業時期がわかったら、2〜3ヶ月前くらいからOPT申請を進めるのがベストです。
ちなみに、僕は90日ギリギリまで掛かりました…。
申請書類については先ほども書きましたが、下記の通りです。
- I-765:OPT申請用の書類(学校に問い合わせして用意)
- I-20:学校から発行される在学証明書(OPT用に新規発行)
- I-94:アメリカ出入国記録(米国政府の公式サイトから手配)
- OPTカード用の証明写真(近くの薬局などで撮影)
- パスポートのコピー
- 学生ビザ(F-1 VISA)のコピー
- 申請費用 $410(※2020年3月現在の価格)
OPT申請書類の送り先
申請書類の送り先は、アメリカ合衆国国土安全保障省(U.S. Department of Homeland Security)です。
窓口がいくつかあったり、州によって送り先が異なると聞いたことがあるので、詳しくは学校の相談室や留学支援センターなどで確認してください。
2. 雇用先を見つける(自分で探す / 学校の紹介)
OPTの申請書類を提出したら、卒業までの間に就活です。
Indeed、ボストンキャリアフォーラム、企業への直メールなど、方法はたくさんありますが、とにかく、ここでは行動力が大切になってきます。鬼のメンタルで行動あるのみです。
なお、OPTは認可から90日以内に仕事を見つけないと無効になってしまうので、鬼のメンタルで行動あるのみです。
英語の履歴書を準備しておこう(スムーズな就活を実現)
OPT受入先をスムーズに見つけるために、英語の履歴書(レジュメ)を準備しておくことをおすすめします。
アメリカ履歴書の書き方を参考に、カバーレター、履歴書を作っておきましょう。
3. OPTカードを受け取る
OPT申請が受理されたら、住所宛にOPTカードが郵送で届きます。
OPTカード(実物)
OPTカードはかなり大切です。OPT期間中だからといって携帯する必要はないので、パスポートやI-20などと一緒に保管しておくことをおすすめします。
4. 雇用先から書類を提出
OPT受入先が見つかり、OPTカードが手元に届いたら、雇用先にオファーレター(就職を証明する書類)を依頼します。
〇〇さんを、△△という役職で、
×月×日〜×月×日まで受け入れます。
給与は◻︎◻︎です。
こんな感じの内容で、1枚のOPT雇用証明書を作ってもらいましょう。ググればテンプレも出てきます。
このオファーレターとOPTカード(コピー)を学校に提出したら、手続きはすべて終了です。
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OPTなら留学→現地就職の夢が叶う(まとめ)
本記事は以上です。
OPTを上手に活用すれば、アメリカ留学から現地就職の夢は実現できます。
アメリカ永住を目指す人も、アメリカで実務経験を積んで日本で飛躍したい人も、留学するならOPTも視野に入れて行動してみるのがおすすめです。
留学相談を受けるのもおすすめ
まだ、ふわっとアメリカ留学を考えているだけの人でも、早めに留学相談とかを受けておくといいと思います。
カウンセリングはもちろん、手続きやサポートまで無料の大手留学エージェント!ラストリゾート、格安留学サービス「スマ留」、高校生の大学進学専門サポートのU-LABOなど、いくつか留学エージェントの無料相談を受けておくと、留学のビジョンが明確になるはずです。
おわり。